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(Vol.214)「シリーズ・『薬機法』を理解しよう ②サプリメントと薬機法との関係」

前回の記事で、薬機法とは、医薬品、化粧品、医療機器などをまとめて規制している法律であると解説しました。

それならば、薬機法の規制対象“ではない”はずのサプリメントが、しばしばニュース等で目にするように、薬機法違反として取り締まりの対象となるのはなぜなのでしょうか?

 

<法律は自分の守備範囲のみを守る>

薬機法に限らず、法律は、そのルールを適用する範囲を明確にするという原則にもとづいて作られています。

そうしないと、そのルールが何を対象としているのか、解釈する人ごとに判断が分かれてしまい、公平な適用ができなくなってしまいます。また、私たち自身が「これは自身が守るべきルールなのかどうか」が判断できず、安心して社会生活を送ることができなくなってしまうからです。

 

例えば、特商法なら、訪問販売やMLMといった“特定の取引”を対象としていますし、解説テーマの薬機法なら、医薬品や化粧品などの “特定の物”を対象としています

さらに、“特定の取引(物)”の部分についても、解釈が分かれないよう、具体的に定義が示されます。

例えば、薬機法における医薬品とは、以下のいずれかに該当するものであるとして、定義づけられています。

・日本薬局方(医薬品の規格基準書のようなもの)に収められているもの

・人や動物の疾病の診断などに使う目的のもの

・人や動物の身体構造などに影響を及ぼす目的があるもの

 

このように、その法律の中で定められる適用範囲に当てはまらない物事については、どんなに似ているものでも、その法律は適用されません。

たとえば『理容師』と『美容師』、「呼び方や業務範囲が少し違うだけで同じ職業じゃないの?」という認識の方もいらっしゃるかもしれませんが、実際は、それぞれ理容師法、美容師法という別の法律にもとづく、法的に異なる職業です。

似ているからといって、理容師の資格のみを持っている方に美容師法は適用されませんし、その逆も同様です。

 

このように、法律は自らの守備範囲を明確にして、そこだけをしっかりと守るように作られているのです。

 

<薬機法の守備範囲にサプリメントは入っていない>

以上の原則を踏まえると、サプリメントが薬機法による取り締まりの対象となるためには、薬機法の適用対象にサプリメントが入っている必要があるはずです。

しかし、薬機法の適用対象に「食品」「健康食品」「サプリメント」などの文言は入っていません。

食品の取り扱いについて規制する法律といえば『食品衛生法』がありますから、サプリメントのオーバートーク等を取り締まるならばこちらの法律が適していそうですが、現実には薬機法での法執行となっています。

 

――はたして、どういう理由でサプリメントが薬機法での取り締まり対象となっているのでしょうか?

 

<ただのサプリメントでも法的に医薬品として扱われることがある>

答えは、 “広告・販売の仕方によって、食品ではなく、医薬品として扱われるから”です。

前述のとおり、法律は厳密な定義づけによって適用対象を明確にしていますが、それはつまり、その定義に当てはまるならば、何を自称していようと適用対象として扱われる、ということに他なりません。

 

薬機法による取り締まりを受けてしまうサプリメントとは、販売事業者の意図にかかわらず、法的に医薬品として扱われているということを押さえておきましょう。

そして、その医薬品を販売していた事業者は、サプリメント(一般食品)として販売していたつもりであっても、「薬機法で定められている医薬品の取り扱いルールを守らなかった」という理由で、非常に厳しい処罰を受けることとなるのです。

 

シナジービジネスにおいては、チームメンバーの皆さまもまた、シナジーと同様にサプリメントの販売事業者です。

決して他人ごとではありませんので、正しくシナジー製品を取り扱う必要があるということを再認識しましょう。

次回から、サプリメントが医薬品とみなされる条件について解説してゆきます。